ありえない外形標準課税

政府税調が中小企業にも外形標準課税を適用しようと検討しています。

理由は、法人税の実効税率引き下げの財源として、資本金1億円以下の中小企業から税金を徴収する方法として、外形標準課税が検討されているようです。

本末転倒としか言えないような気がします。

外形標準課税は、儲かっていなくても支払う税金です。

外形標準課税には、付加価値割と資本割があります。

付加価値割は、給与の報酬額などで課税されます。

よって、人を増やせば課税額が増えます。 資本割は、名前のとおり資本金額で課税されます。

実際、課税率は付加価値割と資本割を足した税率は、0.5%と少ないのですが、儲かっていない会社にとっては、たまったものではない話です。

儲けている会社の税金を減らし、儲けていない会社の税金を増やす。

逆に言うと、儲けている会社は更に儲かり、儲かっていない会社は儲からなくなる。

今の政府の税制の考えかたは、広く薄く取る税制になっています。

税率を下げることで、海外投資家を日本へ呼び込みたいと思っているようですが、人口減少が進み、需要が伸びない国に税率を下げるだけで、投資が増えるのでしょうか?

また、法人税実行税率を低くすることで、企業の海外移転を踏みとどませると考えているようですか、GDPの内需割合が80%超えている日本で、今の企業が税率だけで海外移転するのか疑問です。

海外移転する理由の多くは、日本の需要減や人件費高、円高による移転がほとんどではないでしょうか。

私は、実効税率引き下げの効果はあまりないと思います。

実効税率の引き下げについては、研究開発費の税額控除や配当金益金不算入の税の特典を使えば、さらに税率は下がります。

また、平成24年度の法人申告黒字割合は、27.4%です。それ以外は、赤字です。

22年の25.2%という最低より上向いているものの、まだまだ黒字割合は低い状況です。

27.4%の法人しか恩恵の受けられない実効税率引き下げはどうなんだろうと考えてしまいます。

今回の政府検討案は、27.4%の黒字法人の税率引き下げ分の穴埋めを、外形標準課税で赤字企業も含めて薄く広く徴収するということです。

特にこれから、景気を良くしようという時に、ありえないと話だと思います。

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