手軽にできるモチベーションアップの方法


パートナーコンサルタント 三枝 元(中小企業診断士)

 「部下のやる気を高めるにはどうすればよいか」は経営者とって悩みどころです。モチベーションをあげる方法は様々ですが、手軽にできることは「部下を認めてあげる」ことです。

◆モチベーションの源は「カネ」?「やりがい」?

 「モチベーションの源は何か?」を問うと、「カネ派」と「やりがい(自己実現)派」に分かれます。

私があるセミナーでモチベーションマネジメントについて講演したところ、メガバンクの人事部での経験がある方から、「なんだかんだいっても、結局、カネでしょ」といわれたことがあります。私は思わず、「それなら御行は給与が高いですから、きっとみなさんモチベーションが高いのでしょうね?」と答えてしまいました。その場でお答えは頂けませんでしたが、おそらくそんなことはないでしょう。

給与がそれほど高くない会社でもモチベーションが高いケースはあります。そもそも人はまったくの無給のこと(たとえば趣味やボランティア)でも熱心に取り組むことからも、「モチベーションの源はカネである」という考え方には無理があります。

しかしながら、モチベーションの源が、「やりがい(自己実現)」というのも違和感があります。もちろん、やりがいや自己実現のために仕事をする人もいるとは思いますが、多数派だとは思えません。また、「1人1人が考える『自己実現』の場を企業が実際に提供できるのか」という問題もあります。

◆部下は「自分の価値」を認めて欲しい

 モチベーションの源が「カネ」でも「やりがい(自己実現)」でもないのだとしたら、他に何があるのでしょうか?1つの考え方として、承認欲求というものがあります。承認欲求とは、「自分のことを認めて欲しい」という欲求のことです。

 給与が高い他社でも十分通用する実力がある人が、今の勤め先にとどまっているのも、社内で承認欲求が満たされているからかもしれません。逆に給与が高くても、モチベーションに欠けるのは、社内で自分が認められていないからだと考えることもできるでしょう。

誰でも褒められたり認められたりすれば悪い気はしないものです。ただし些細なことでも無理に褒めるというのはお薦めしません。部下も馬鹿ではないので、無理に褒められても気持ち悪がられたり、何かねらいがあるのではと勘ぐられたりするだけです。

あくまで自然体で臨み、部下に評価できる部分があるのなら、なにかの折にフィードバックしてあげたり、自分が本当に感謝しているのなら、そのことを伝えてあげたりすればよいのです。「自分だったら嬉しいことをしてあげる」「あくまで自然な感情として振舞う」ことがポイントです。

 承認欲求に訴えるのは、お金もかからず手っ取り早くモチベーションを上げる最良の手段だといえます。

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