交渉のパターンを知り、望む利益を得る


パートナーコンサルタント 三枝 元(中小企業診断士)

 経営者の方であれば、顧客、仕入れ先、金融機関、業者などと交渉する機会が多々あるかと思います。交渉が上手な方もいれば、そうでないという方もおられるかと思います。交渉というと、どうしても個人の経験や性格に依る部分が大きいように思われますが、基本的なセオリーを知っていれば、どなたでも上手に対応することができます。

◆3つの交渉パターン

交渉にあたり、まず「この交渉はどのパターンなのか」把握することが必要です。交渉には、次の3つのパターンがあります。

(1)分配型交渉

⇒限られたパイをめぐって、相互が自分の取り分(利益)の最大化を図るために行う交渉

自分が得をすれば相手は必ず損をするし、相手が得をすれば自分は必ず損をするというパターンです。価格交渉では、安い価格になれば買い手が得をし、売り手は損をします。

(2)利益交換型交渉

⇒パイが限られている状況で「自分が重要でない部分は譲り、その代わり自分にとっては重要だが相手にとっては重要でないものを引き出す」というもの

仮に、売り手には「代金をその場で現金で欲しい」というニーズがあり、買い手には「できるだけ安く買いたい」というニーズがあったとします。この場合、売り手側が多少価格を安くする代わりに、買い手側からその場での現金支払いを求めるという交渉が成り立ちます。

(3)創造的問題解決型交渉

⇒「交渉当事者が協力し合ってパイを拡大する」というもの

パイを拡大すれば、互いの取り分は大きくなります。逆にいえば、パイが限られている(あるいは小さくなりつつある)場合には、奪い合いは熾烈になり、合意を図ることが難しくなります。創造的問題解決型交渉の例としては、企業間の連携があります。争うのではなく共同で事業を行うことで、全体の利益を高める(その結果、自社の利益を高める)ことができます。

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