不適切会計と粉飾決算

最近、ギリシャ、中国株、安保、国立建設費用の4点で大騒ぎしています。

この4点はかなり突っ込んだ内容を報道しています。

何故かあまり突っ込まれないニュースがあります。それは、東芝の不適切会計問題。

不適切会計という言葉を聞いて、日本語って表現力豊かだと改めて感じます。

不適切という言葉で新聞、マスコミ各社統一しています。

恐らく、今までのマスコミと東芝の関係がこの表現になっているのだと思われます。

5月に500億円の過去の会計処理の誤りによる損失計上すると報道された後、どんどん出てくる会計処理の誤りが、、、。

ついに、2000億円。

誤りの数字としては大きすぎます。

不正なのか誤謬(うっかり)なのか。一部門がやったことなのか、経営層まで関わっているのか。

東芝の社長が不適切会計を促すメールを送ったとのニュースがありました。

この報道が本当であれば意図的に数字を調整し、トップの指示で調整したということになります。

世の中ではこれを粉飾と言います。

不適切会計という表現について、ついうっかり間違えて処理してしまったというイメージがあります。

粉飾決算は言葉のとおり、自分の意志で実際の数字より良く見せることを言います。

粉飾したことをお化粧したと言いますが、お化粧で素肌を隠し、よく見せるという言葉からきています。

不適切会計は、会計という言葉を使い重く感じません。単なる会計処理という印象です。

粉飾決算は、決算という言葉が使い重い言葉です。決算の数値を確定させるのは経営者だからです。

意図的に数字を調整した=粉飾決算

うっかり会計処理を間違えた=不適切会計

東芝の件は、粉飾決算と言うべきです。

いつマスコミは言葉を変えるのでしょうか。

東芝の監査法人は何をしていたのだろうか、、、。本当にこれだけの金額を見逃していたのだろうか、、、。という疑問もあります。

粉飾の方法として、棚卸資産、売掛金などの流動資産、買掛金、未払金などの流動負債や償却資産で調整されることが多いです。

東芝は主に棚卸資産で調整したのではないかと思います。プロジェクトなどの原価管理で費用を少なく計上と書いてある記事を見ましたが、それは未成工事支出金という勘定になり、棚卸資産に含まれます。

大きな企業になると粉飾が巧妙になるので見破るのは大変になりますが、中小企業の場合、3期分の決算書とキャッシュの流れを見るとおかしな点が見えてきます。

決算書も税務申告用と銀行用と分けて作成しているところがあるようですが、この時点でもうアウトです。

あと、黒字にするために減価償却計上しなかったり、少額しか計上しなかったりする会社がありますが、法人税別表を見ればすぐに未償却がどれだけあるか分かってしまいます。

減価償却を計上せず数字をよく見せる方法は、銀行も直ぐにわかるのでやめましょう。

あと、粉飾は一度やるとやめられません。

粉飾は経営努力なしで安易に経営をよく見せる方法のため、一度やってしまうともう1回、もう1回と繰り返してしまいます。

今の自分の苦しさから安易に開放されたいと思ってやってしまうため、麻薬と一緒です。

粉飾は麻薬です。

そして、粉飾額が年々増加していきます。

なぜ、どんどん粉飾額が増加するのでしょう。

経営状況が苦しいのに粉飾して数字をよく見せるため、会社は問題ないという思い込み思考にはまります。

来年挽回できる、大丈夫いけるという思い込みです。

これが、経営改善を先送りしてしまいます。問題の先送りです。

また、経営が苦しいのに社員に会社は順調だと伝えているので、社員は安心して今までどおり仕事をします。

社員に決算書が良くて、会社はピンチだなんて言えません。

今までのやり方、考え方を修正して社員一丸となって戦わなければならないのに、だれも何もしない。現状維持が続いてしまいます。

そして改善されることなく、どんどん悪化していくのです。

1例ですが、とある人が、健康診断結果のC判定を見て先生に ”奥さんにC判定は見せられないので診断書はAと書いてくれ”とお願いしたとします。

そして、先生はやむなくA判定の診断書を書いたとします。奥さんがそれを見て”良かったね”と言われたら、安心します。

奥さんに言った手前、治療で病院に行けません。また、Aの紙を見て妙な安心感も生まれます。自分はまだ大丈夫かな?

よって、治療を先送りしてしまい、病状は悪化してしまいます。

数字が悪いのに不正した良い数字を見てしまうと、問題ないんだと安心してしまう思い込み思考が一番怖いです。

経営者は、孤独で責任も大きく大変な仕事だと思います。その分、プレッシャーも人一倍受けます。

苦しい時の出来心でやってしまったことが、どんどん大きくなり、自分でどうしようもない状況になった時には手遅れなり、自分へ大きく跳ね返ってきます。

数字を良く見せないと銀行から融資を受けられなくなるのではないかと不安になる経営者も多いと思います。

しかなしながら、そんなことはありません。

状況を説明し、改善案を出し、試算表もキチンと出していれば銀行も必要な資金は出します。

会社側が銀行へどれだけ正しい情報発信しているかで融資姿勢は大きく変わります。

経営悪化を早めに察知し、対処方法を考え実行していく。早めのバブロンではありませんが、問題には直ぐに対処し、日々改善を続けていくことが会社の繁栄につながる一番の方法だと思っています。

経営にウルトラCはありません。

芝うかい亭の庭です。5月に妹の結婚式食事会で行きました。

東京どまんなかと思えないほど、木が茂っています。

キレイな庭です。

IMG_3738