決算書にはドラマがある。

中小企業診断士、財務コンサルタントの松田です。

 

決算書には貸借対照表と損益計算書があります。初めて見る会社の決算書は、3期分並べて見ます。

そうすると、色んなものが見えます。社長の性格まで見えたりします。

堅実な社長、やんちゃな社長、派手好きな社長、優しい社長。大体見えてきます。

決算書はただの並んだ数字ではありません。社長や社員たちが歩んできたドラマです。仕事して使ったり、貰ったりしたものを整理して並べたのが決算です。

なので、同じ業種でもまた違ったドラマが決算書には出ます。それが面白いです。

最近は、ちょっと景気が良いので、プチバブル的な使い方している社長が増えましたね。交際費、ゴルフ会員券、車、節税用の保険。社長たちは、車は好きですよね。
良いことで、賞与の支給も増えました。

保険屋さんや銀行にうまいことやられたなとか、本業苦しいから副業やってるねとか。

売上に対して、売掛が多いとか、買掛が少ないのもチェックします。ここは、粉飾しやすいところです。在庫も同じです。

税務申告書まで見るともっと色々と見えてきます。事業の引き継ぎはどうするのか?メインバンク、借入の状況、得意先の情報などなど。設備投資や社員給与UPの税額控除を使っている申告書も増えました。

最近、特に気になるのは、後継者をどうするかです。2代目、3代目がいたとしても、これだけの債務を抱えたまま引き継がせるのかという決算書を見ます。

会社に多額の債務がある状態で、後継者に会社を引き継がせるのは、やめるべきだと思います。後継者に債務を押しつけて良いのでしょうか。

多額の債務とは、概ね債務の返済が10年以上かかる場合です。現在、事業が10年継続できる保証が無いのに、その債務を後継者に払わせるのは酷です。

また、やる気のない2代目3代目を無理矢理社長にしようとする社長(父)がいますが、今の御時世、やる気のない人が社長になれば、経営が一気に傾きます。その一族が衰退するだけでなく、その会社の社員が路頭に迷うことになります。

事業は、社員の雇用を守るという視点が一番大事だと考えています。

同族に後継者不在の場合、元気のある別の会社か、社員に事業を譲ったほうが良いと思います。無理矢理息子とか甥っ子などを引っ張り出して社長をやらせないほうが良いです。

最近は、中小企業でもM&Aが身近になってきました。もう、一族で会社を守る時代ではなくなりました。

社員を雇用し続ける、顧客に支持され続けるためにという視点で、会社の後継者、事業承継を考えてもらいたいと思います。

決算書の話から、事業承継の話へズレてしまいました。

写真は、現在手に入りづらい、日本酒、東洋美人の蔵元です。今月、実家に帰った時に蔵元まで足を運び、東洋美人をゲットしました!