初めての補助金②「小規模企業持続化補助金(コロナ特別対応型)」


パートナーコンサルタント 三枝 元(中小企業診断士)

前回、はじめて補助金を申請したいとお考えの方にオススメなものとして、「小規模企業持続化補助金(コロナ特別対応型)」をご紹介しました。今回は、これを例に補助金の書き方(事業計画部分)の基本をご説明します(実際の記入欄の一部を割愛しています)。

事業概要」欄

記入欄には「自社の概要や市場動向、経営方針等を記載ください」と注記があります。おおよそ次のことを記入すればよいです。

・事業内容

・売上・粗利総額

・取り扱い商品・サービスの内容(構成比)

・顧客層

・自社の強み(アピール点)

・経営理念・方針・目標

・業界動向や顧客動向(ネットで自社に関係のある調査を検索し、グラフなどのデータで示す)

◆「新型コロナウイルス感染症による影響」欄

欄には「売上減少等の状況について記載ください」と注記があります。「困っている事業者を補助する」のが趣旨ですので、「困っている度合い」をアピールします。単に「困っている」だけではダメで、定量的に示す必要があります。たとえば「前年比で売上が2月は15%、3月は30%、4月は40%減少で、通期で○○%減収を見込んでいる」といった感じです。

◆「今回の申請計画で取り組む内容」欄

欄には、上記を踏まえて販路開拓等の取組を書くよう指示があります。おおよそ次のことを記入すればよいです。

・「コロナで打撃を被った事業の回復(あるいは成長)を図るための取組」を記載します。

・あわせて導入(購入)するものをある程度具体的に示します。

たとえば、来店客が激減した飲食店が「ホームページを改修して予約システムや決済システムを導入して、テリバリーを始める」といった感じです。

・ちなみに販路開拓とは、「これまでの客層とは違う客層を開拓する」という意味です。たとえば地域・性別・年齢・嗜好やニーズがこれまでとは異なる層を取り込むということです。よって、今後のターゲット層を明示します。

◆「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果」欄

おおよそ次のことを記入すればよいです。

・上記の取り組みにより具体的にどれくらい売上や利益が増えるのかを示します。

・さらに、「その結果、どのようなノウハウや経営資源を得ることができて、それが将来の成長につながるのか」まで描ければベターです。

◆事業計画書を書く際の注意点

事業計画書は「何か書いておけばよい」というものではありません。審査で選ばれるためには、次のことに注意しましょう。

・素人にも分かりやすく丁寧に書く(審査員は業種知識がないということが前提)。

・具体的に示す(特に事業内容やターゲット層、取組)

・できるだけ定量的に示す(特にコロナの影響度合いや、取組の効果)。

・必ずいくつか画像や図表を入れる(特に店舗、購入するもの、ビジネスの仕組み、市場環境)。

・全体のストーリーを意識する(本補助金の場合、「△△事業をやっているが、コロナで減収に陥った。○○という取り組みを行って、売上を回復し、成長につなげる」という流れ)。

初めての方にとって、事業計画は億劫に感じるかもしれませんが、書き方の基本を知っていてやる気があれば誰でも書けます。本補助金の場合、かかる時間は正味で1日くらいでしょうか。ぜひ「どうすれば審査に通るか」知恵を絞ってみてください。 そして一度書いたら誰かに見せてみて、分かりやすいかどうか聞いてみることをおすすめします。自分の感覚と他人の印象は往々にして異なりますからね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です